大坂なおみ選手から考える、日本が持つ島国意識、差別意識について

1.大坂なおみ選手は日本人?

女子テニスプレーヤーの大坂なおみ選手は2018年の全米オープンで優勝し、一躍時の人となりました。
子供の頃からの憧れであったセリーナ・ウイリアムズを破っての快挙で、わずか20歳という若さでグランドスラムを達成したことになります。

その試合の様子は日本のメディアでも取り上げられ、日本各地で大きな話題を集めました。
大坂なおみ選手は現在米国と日本の二重国籍ですが、2020年に開催される東京オリンピックで日本人選手として出場し活躍することも期待されています。

日本中が大坂なおみフィーバーに湧きましたが、その一方で彼女は生粋の日本人ではないという意見も多く聞かれました。
彼女の母親は北海道出身の日本人女性ですが、父親はハイチ出身の米国人男性だからです。
大坂なおみ選手も3歳から米国で育っているため、日本語よりも英語の方が得意という面もあります。

しかし、彼女が日本国籍を有していることには間違いありませんし、テニスの試合にも日本人として出場しています。
それなのに日本ではどうして外国人のような扱いを受けてしまうのでしょうか。
それには日本人が持つ島国意識や差別意識が関係しています。

2.異質なものを排除するという日本人特有の気質が関係している

日本は島国なので、他の大陸の人々と比べると外国人との交流が元々あまり多くありませんでした。
徳川幕府の時代には鎖国政策をとっていたこともあって、ますます閉じられた世界だったといえます。

現在では海外旅行なども気軽に行けるようになり、日本に住む外国人も多くなっています。
外国をルーツに持つ人の数も増えてきましたが、それが広く普及したとまではいえません。
外国人に対して苦手意識を持つ人も多く、とりわけ外国人との接触が少ない地方ではその傾向が強いといえます。

大坂なおみ選手
引用元:https://globe.asahi.com/article/11842156

また、昔の日本人は農耕民族であったことと日本が災害の多い地域であったことも、周囲との調和や連帯感を大切にする意識を育てたとも言われています。

人々は協力して農作業に当たらなければいけませんでしたし、災害時にも助け合わなければいけなかったからです。
それは日本ならではの美徳ではありますが、その一方で異質なものを排除するという方向へ行きがちです。

結婚式や葬式などの冠婚葬祭でもその風潮は根強く残っています。
ヨーロッパなどでは結婚式は宗教色が濃く、神に結婚を誓う儀式になります。

日本の場合には宗教色はそれほど濃くはありません。
挙式よりも披露宴の方が重んじられることも多く、これは周囲の人にお披露目をして認めてもらうということが大切になるからです。
つまり、周りの目を非常に気にする性質ということが分かります。

3.見た目が違っていたり行動が人とは違っていると差別意識が生まれやすくなる

ですから日本では、人とちょっと違うことをしたり違ったことをしたりすると攻撃の対象になってしまうことがあります。
日本で起こりがちなイジメは、グループから外されてしまったり無視をされるといったことが多いようです。

団体意識が強い日本において、仲間に入れてもらえないということはとても悲しいことだからです。
個人主義のヨーロッパなどとはこのような部分が違います。

ですから日本人の国民性として、見た目が違っていたり行動が人とは違っているということは差別意識が生まれやすくなります。
大坂なおみ選手は見た目も生粋の日本人とは少し違いますし、言葉も日本語だと拙いところがあるので、外国人に見られやすい部分もあります。
そのため純粋な日本人ではないと感じる人もいるようです。

近年は日本に住む外国人も多くなっており、ハーフタレントなどもテレビに続々と登場しています。
身近なところに外国人がいるようになってきたので、徐々に島国意識も薄れてきています。

しかし、アジアの特定の国に嫌悪感を持つ人も増えるなど差別意識はすぐに解消しない状況です。